いよいよ本格的に浸透してきた感のあるリモートワークですが、まだまだ浸透を邪魔するものは、そこらじゅうに溢れているようです。 この記事では、僕が直面したものを中心に、リモートワークを妨げる障害について列挙してみます。
簡単に纏めると『ツールや制度・ルールが整備されていない』ようなことは非常に些細な問題で、『人の気持ち・習慣』のような問題が非常に厄介でした。

妬み・嫉み
僕が、最も厄介だと感じたのは「妬み」です。
リモートワークのような制度を、全社員に一斉に適用するのは、なかなか困難です。僕の場合は、先行して適用する部門などを選定して進めることになりました。
また、すべての従業員にリモートワークを適用した後でも、当然、仕事の内容には部門差・個人差があります。どうしてもリモートワークに向かない仕事をする部門もあるし、リモートワークを利用できる頻度に部門間・個人間で差が出ることもありました。
寝た子を起こすようでヒアリングやアンケートは避けてましたが、リモートワークの適用が遅れる部門や、リモートワークに向かない業務を担当する部門・個人からの妬みは少なくなかったように思います。
妬みの怖いところは「正当に認められた制度の利用を、他人からの妬み・嫉みを恐れて、行使しづらくなる」ところにあります。
マイクロマネジメントな管理者
wikipediaによると、マイクロマネジメントとは、「管理者である上司が部下の業務に強い監督・干渉を行うことで、一般には否定的な意味で用いられる。」とのこと。
僕はあまり詳しくないのですが、おそらく、こうしたマネジメントが必要な業務もあるのでしょう。
リモートワークによって、良くも悪くも「見た目に関する部下の様子」についての情報を獲得する頻度は、圧倒的に減ります。「見た目に関する部下の様子」をもとにしたマイクロマネジメントは、現実問題、不可能です。
しかし、「見た目に関する部下の様子」をもとにしたマネジメントって、本当に必要なのでしょうか。
この手のマネージャーの反発には、どんな情報を元にして、どんなマネジメントをするのかを明らかにしたうえで、本当にマイクロマネジメントが必要なのか、そのための部下の見た目の情報が必要なのか、じっくり議論する必要があるかもしれません。
なお、本当に「部下の一挙手一投足を監視しなければならない」なら、リモートワークは導入しないほうがいいと思います。
「やるき」や「行動」を評価する人事・評価制度
「やるき」とか「行動」「心意気」みたいなものを評価するような制度って、ありますよね。僕が所属している会社でも、マネージャー以外は「やる気」「行動のありよう」が、評定の半分を占めています。多い少ないの差はあれど、多くの会社でも同様の制度はあるんじゃないでしょうか。
しかし、リモートワークが中心になると、こうした「行動」「やるき」を評価するのは、非常に困難になります。
とはいえ、人事制度・評価制度を変えるのは一苦労だと思います。また、過度な成果主義の悪影響も多くの会社で痛い目を見てきたかと思います。制度の整備を待つのはあまりにも勿体ないので、現行制度とうまく折り合いをつけながら進めることになりました。
親会社や関連会社との福利厚生のバランス
企業グループに属する会社の場合、社内の制度・仕組みを、自社1社だけで意思決定をできないことがあります。特に、リモートワークのような目立つ制度の場合は尚更です。
福利厚生的に捉えた場合に「グループ内の足並みが揃っていないことが許されない」・・・ということもあります。関連会社・親会社が保守的な風土の場合は、尚更でしょう。
さまざまな力関係が絡む話題ですが、せめて、あなたの会社がリモートワークを導入する理由と、グループ内他社よりも自社の方が必要なのだという理由を、あらかじめ用意しておいたほうが良いでしょう。
「社員は、会社に帰属意識を持つべき」という常識
「社員は、会社に帰属意識を持つべき」と考える人は多いでしょう。一方で、昨今導入が進んでいるリモートワークや副業などの制度は、会社への帰属意識を下げる可能性があります。
・・・ちなみに、僕の場合、リモートワーク・副業両方の制度を利用した結果、会社への帰属意識は地の底に落ちました。
さまざまな意見があると思いますが、昨今の人事制度や雇用環境の流れは、会社への帰属意識を求めづらいものになっています。しかし、こうした中でもいまだ「会社への帰属意識を要求するタイプの人」は、特に高齢の方に多いです。
このような「帰属意識を要求する人」が「帰属意識を低下させる取り組み」に反発することがありました。
紙と印鑑を前提にした業務
紙を前提にした業務、押印を前提にした承認フローは、どこの会社にも数多くあるでしょう。
こうした、紙と印鑑を前提にした業務をシステム化する・・・というのが理想でしょうが、当然、時間もコストも多くかかってしまいます。
これらのIT化を待つのは、さすがに時間がかかってしまうので、「オフィスでなければできないこと」は集中的に、出社日にこなす などの対処が必要でした。
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