危ないRPA – 非ITエンジニアのための、RPAを導入する前に知っておきたい3つの特徴 – 幻滅期をソフトランディングするために

危ないRPA – 非ITエンジニアのための、RPAを導入する前に知っておきたい3つの特徴 – 幻滅期をソフトランディングするために

[2018-04-22 修正]非ITエンジニア向けに、一部の表現を修正しました。

RPAは、この1年くらいでエンタープライズ系のITメディアに登場する機会が急激に増えました。最近では、目にしない日が無い気もします。

これらの情報は、売り手側が発信するものが中心で、かなり強いバイアスが掛かっているものが殆どです。一部には夢や願望、妄想じみたものもあります。(記事のリンクは自粛します)

かつてのERP、いまならAIのように『売り手の都合の良い情報への反論』が、RPAに関しては極端に少ないように感じます。

今日はそんな『売り手が発信する情報や、過剰な期待が先行』している状況のRPAについて、本気で導入を進めようとしている方たちに向けて、いくつかの問題・注意点をご紹介したいと思います。

ITエンジニアなら見出しでピンとくるものが多いと思いますけど、ITエンジニア以外の方にも伝わるよう、なるべく丁寧に書いたつもりです。

なおこの記事は、RPA自体の価値を否定するものではありません。あくまでもデメリット・問題点・リスクを正しく把握・評価するための情報提供を目的としています。

この記事の内容が、冷静なRPA導入・活用の判断の助けになれば幸いです。

この記事が想定する読者

RPAの導入を考えている、非ITエンジニア。

1. コーディングが不要。だけど、誰にでも作れる訳じゃない。

多くのRPAの製品では『コーディングが不要』、さらには『エンドユーザーがロボットを作って業務を自動化』することを謳っています。ただしこれは、『誰でもRPAで業務を自動化できる』ことと、同義ではありません。

確かに、一切コードを書かない製品も中には存在しますが、それはただ単に『コードを書かない』というだけの話です。定型的な作業をRPAで定義するためには、プログラミングのごく基本的な要素(入出力・演算・繰り返し・条件付き実行)の理解が不可欠です。

売り手はこの事実について、正直に説明しないことが多いです。

なお、Microsoft Excelの『マクロの自動記録』のような、PCの操作を記録・再生してくれる機能を持つ製品もあります。

ただし御存知の通り『マクロの自動記録』は、コードを書かなくて済むことに期待する人にとって充分な機能ではありません。

どんな条件で操作を変えるのか、その作業を何度繰り返すのか、その繰り返しはどうなったら終わりにするのか・・・といったことは、自動では記録されません。

これはRPA以外のツールでも同じ話ですが『コーディングが不要、だからエンドユーザーでも扱える』というファンタジーを見せるような売り手側の手口は、今後も無くなることはないのでしょう。

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2. とても脆く、すぐに動かなくなる。

RPAは『画面に表示されているモノのうち、何を操作するのか?』を、大まかに次の3つの方法で認識します。

No.名前『操作対象の認識→操作』の例
1座標画面の左上端から、右に100px、下に250pxの場所をクリックする。
2画像あらかじめキャプチャしておいたボタンの画像と一致するものを、画面から探してクリックする。
3オブジェクトあらかじめ指定しておいた部品の名前を、表示されている画面の中から探してクリックする。

これらの認識方法うち、画像や座標による認識方法は、非常に脆く、不安定です。次のような、ほんのちょっとの違いが、意図しないRPAの動きを誘発したり、思わぬ処理の停止を招きます。

  • ディスプレイの解像度
  • 使っているソフトウェアのバージョン・ボタンの色・フォント・背景色
  • ボタンやテキストボックスにカーソルが当たっている・いない
  • ブラウザの拡大率・縮小率
  • 操作対象のソフトウェアの『ボタンを押してから結果が返ってくるまで』の時間
  • CPUやメモリなどのPCのスペック
  • メールやブラウザからの通知

3. 『正確な手順書』は作れるが『わかりやすい手順書』が作れない。

ロボットは、手順書に書いてある通りにPCを操作します。ただしその手順書は、当然ですが人間が用意しなくてはいけません。

手順書の要件として最低限『正確』でなければなりません。人間と違い、内容に明らかな誤りがあっても、行間を読んで正しく操作する・・・ようなことは期待できません。

それに加えて、手順書は『わかりやすい』ものでなければなりません。『わかりにくい手順書』は、手順書を書いた人以外、手順書の内容を読み解けなくなってしまいます。

手順書の内容を読み解きづらいので、手順書を直すには非常に苦労します。これが、異動・退職した前任者や外注先が用意したものなら、尚更です。

私の知る限り、多くのRPAで『ロボットのための手順書』は、ソースコードで表現されたものに比べて非常に『読みづらい』です。『コーディング不要』を謳う製品では特に。

これは、考えてみれば当然の話ですが、短いコードで表現できるような事を、あえてアイコン・矢印等で表現しているので、同じ画面に表現できる情報量が極めて少なくなります。

さらに、コメント(ロボットの動作には無関係だが、人間が手順書の内容を理解するために必要なメモ)が書けない製品もあります。

もう一度、冷静に判断してみよう。

この他にも、RPAにはさまざまな問題があります。このような問題点は、実際に手を動かして、RPAで簡単な業務を自動化してみれば、すぐにわかるようなものが多いです。

製品ベンダーやコンサルタントの話す内容はあくまでも参考程度に留めておき、実際の問題点を、自分の手と目で確認することをお勧めします。そんなに時間掛からないので。

この記事は以上です。

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